
「絵本の指導案を書きたいけど、各項目をどのように書けばいいの?」
「良い指導案にするために、書く際のポイントや見本を知りたい!」
絵本の指導案を前に、どのようなことを書けばよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
指導案は、よりよい保育を行うために子どもとの関わり方や準備物を整理する計画書です。あらかじめ計画を立てておくことで、日々の保育で生じる迷いやトラブルを減らし、スムーズに子どもと向き合うことができます。
「絵本の時間は短いから、指導案をそこまで書かなくてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、子どもは面白くないと思う絵本は見ませんし、配慮や準備が不十分であるため絵本に集中できないこともあります。
学びの多い絵本だからこそ、子どもがさまざまなことを感じ取れるよう、事前にしっかり指導案を作成し、計画しておくことが大切です。
絵本の読み聞かせをより有意義な時間にするために、この記事では以下のことを解説します。
| この記事で分かること |
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例文も豊富で、年齢別にテンプレートが付いているため、この記事を参考にすぐに指導案作りに取り掛かれるでしょう。
「絵本の指導案作成で行き詰まっている」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.絵本の指導案を作成するにあたってすべきこと

より良い絵本の指導案を作成するためには、いきなり指導案を書き始めるのではなく、まずは事前準備を行いましょう。
指導案をスムーズに書けるように、ここでは、事前準備について解説していきます。
- 読み聞かせを行う目的を明確にしておく
- 読む絵本を決める
- 導入の手遊び歌を決める
それぞれ見ていきましょう。
1-1.読み聞かせを行う目的を明確にしておく
まずは、読み聞かせを行う目的を明確にしましょう。
目的を明確にすることで、指導案を書く際にスムーズに書きやすいだけでなく、より良い指導案を書けるからです。
読み聞かせの目的は、子どもたちに今どんな力を身につけてほしいのか、どんな気持ちや経験を伝えたいのかによってさまざま。季節や活動の予定、最近の子どもたちの様子など、日々の状況がヒントになります。
例えば、次のような目的が挙げられます。
【読み聞かせの目的の例】
- トイレトレーニング中なので、トイレの絵本を通して自分から進んでトイレに行けるようになって欲しい
- ユーモアのある絵本を読み、「絵本って楽しい!」と感じて絵本への興味を深めて欲しい
- 明日遠足に出かけるので、活動への期待を高めたい
- 玩具の貸し借りでトラブルがあったため、「かして」「いいよ」と貸し借りする方法や関わり方を伝えたい
- 友だちとの関わりが増えてきた時期なので、「ごめんね」「ありがとう」など気持ちを伝える大切さを伝えたい
- 季節の絵本を読んで、その時期ならではの行事を楽しんだり、興味を持ったりして欲しい(例:七夕・節分・クリスマスなど)
- 新しい活動に安心して参加できるよう、事前にイメージできるようにしたい(例:プール、運動会、おゆうぎ会、お泊り保育など)
絵本を選ぶときには、「なぜこの絵本を読みたいと思ったのか」という理由があるはずです。
普段はなんとなく絵本を選んでしまいがちの方も、目的を意識することで指導案の質が高まり、読み聞かせの時間がより豊かで意味のあるものになるでしょう。
1-2.読む絵本を決める
読み聞かせの目的が決まったら、次は読む絵本を決めましょう。
選んだ絵本によって指導案の内容も変わるため、指導案を書く前に目的・絵本の選定を済ませておくと、スムーズに指導案が書きやすいですよ。
絵本を選ぶ際は、前述した「絵本を読む目的」に合った内容を基準にすると良いですが、その前提として、子どもが「面白い」と感じる絵本を選びましょう。興味のある絵本であれば集中して見ますが、面白くないと感じると見てくれないからです。
以下に、年齢別の絵本の選び方・おすすめの絵本を紹介していますので、選定の参考にしてみてください。
| 年齢 | 絵本の選び方 |
| 0・1歳 |
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| 2歳 |
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| 3歳 |
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| 4歳 |
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| 5歳 |
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※気になる方は、作品名をクリックしていただくと詳細ページに飛べます。
年齢に関わらず、子どもたちの成長段階やクラスの状況も踏まえながら、子どもたちが夢中になって楽しんで見てくれる面白い絵本を選びましょう。
なお、各年齢のおすすめの絵本についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
1-3.導入の手遊び歌を決める
絵本の読み聞かせの際には、あらかじめ手遊び歌を考えておくのがおすすめです。
指導案を書く前に「どの手遊び歌にするか」決めておくと、指導案に反映しやすくなり、読み聞かせの時間をより充実したものにできます。
いきなり絵本を読み始めても、絵本を見るモードに切り替えられず、集中して見るのは難しいです。しかし、手遊び歌をすることで、子どもたちも楽しみながら、自然と絵本に集中できる環境を作ることができますよ。
手遊び歌には以下のようなものがあります。
【手遊び歌の例】
| 0・1・2歳児向け |
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| 3・4・5歳児向け |
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| 静かになるもの |
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例えば、だんだん小さな声になっていく「ワニのかぞく」を行う場合、指導案の保育者の配慮には「次第にテンポをゆるやかに、小さな声にして絵本に集中できる雰囲気にする」と記載できます。
このように具体的に指導案を書くと、読み聞かせの際も実践しやすくなるため、あらかじめ手遊び歌を決めておくと良いでしょう。
ここに挙げたものはあくまで例ですので、クラスの子どもたちが好きな手遊びなどを基本として考えてくださいね。
2.項目別|絵本の指導案の具体的な書き方

事前準備が整ったら、いよいよ指導案の作成に進みましょう。
ここでは、絵本の指導案における項目別の書き方と、その際のポイントについて解説していきます。
実際の読み聞かせで活用できる指導案を作るためにも、どんな項目があるか・書き方のポイントへの理解を深めましょう。
- ねらい
- 予想される子どもの姿
- 保育者の配慮と援助
- 環境構成
なお、ここで紹介する項目は一般的に多くの園で用いられているものですが、指導案の様式や記載方法は園によって異なります。自園の形式に合わせて、調整しながら作成してくださいね。
それぞれ解説していきます。
2-1.ねらい
「ねらい」には、絵本の読み聞かせを通して、子どもにどのような力や心を育てたいかを書きます。
「1-1.読み聞かせを行う目的を明確にしておく」でもお伝えしましたが、単に絵本を読むのではなく、活動の目的を意識することで、保育の質がぐっと高まります。
設定する際には、以下のようなポイントを意識して書くのがおすすめです。
| 「ねらい」を設定する時のポイント |
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絵本の指導案の「ねらい」の例としては、以下のようなものがあります。
| 絵本指導案の「ねらい」の例 |
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参考:厚生労働省「現行の保育所保育指針における発達過程に応じた保育の内容【ねらい】」
厚生労働省「保育所保育指針」には、年齢ごとの発達の目安とその発達過程に応じた保育のねらいが載っています。あわせてご確認ください。
「ねらい」は指導案の核となる部分です。読み聞かせや絵本の世界を通して、子どもたちが何を感じ、どんな成長をしてほしいのかを意識しながら設定しましょう。
2-2.予想される子どもの姿
「予想される子どもの姿」には、絵本の読み聞かせを行う際に想定される子どもたちの反応や行動を書きます。
事前に子どもたちの姿を具体的に思い描くことで、次の項目である「保育者の援助」を考える際により的確な対応をイメージしやすくなります。
例えば、「読み聞かせの途中で子どもたちが自由に発言する」といった子どもの姿を予想するとしましょう。その場合、「発言に反応するのか」「あえて反応せずに、読み聞かせを進めるのか」など、保育者の援助の仕方についてあらかじめ整理して記載できます。
実際の読み聞かせの場面で、子どもが思いがけない行動をとると戸惑うことがありますが、事前に想定を広げておくことで、落ち着いて対応できますよ。
「予想される子どもの姿」を設定する際には、以下のようなポイントを意識しましょう。
| 「予想される子どもの姿」を設定する時のポイント |
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絵本の指導案の「予想される子どもの姿」の例としては、以下のようなものがあります。
| 絵本指導案の「予想される子どもの姿」の例 |
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このように、子どもがどのように感じ、表現し、関わろうとするかを具体的に書くことが大切です。
絵本を通して、子どもたちがどんな感情を抱き、どんな動きをしそうか想像することで、より実践的で温かみのある保育計画につながりますよ。
2-3.保育者の配慮と援助
「保育者の配慮と援助」には、設定した「ねらい」を達成するため、また「予想される子どもの姿」で想定した子どもの行動に対して、保育者がどのような声かけや働きかけを行うかを具体的に書きます。
あらかじめ子どもの姿を具体的に想定し、援助の方法を考えておくことで、実際の活動中に子どもが行動した際にも、落ち着いて対応でき、より適切な援助につなげることができます。
「保育者の配慮と援助」を設定する際には、以下のようなポイントを意識しましょう。
| 「保育者の配慮と援助」を設定する時のポイント |
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絵本の指導案における「保育者の配慮と援助」の例としては、以下のようなものがあります。
| 絵本指導案の「保育者の配慮と援助」の例 |
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子どもの姿を踏まえて保育者の関わりを具体的に想定しておくことで、実際の場面でも落ち着いて対応でき、子どもの思いや行動に合わせた適切な援助ができるでしょう。
2-4.環境構成
「環境構成」には、子どもが絵本に集中できるように整える環境や場の工夫を記します。 環境を整えることで、子どもたちは絵本に集中しやすくなり、内容をより深く味わえます。
具体的には、絵本の見やすい位置や子どもの座る場所、室内の明るさや雰囲気づくりなど、物理的・心理的な環境設定を記載します。
「環境構成」を設定する際には、以下のようなポイントを意識しましょう。
| 「環境構成」を設定する時のポイント |
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絵本の指導案における「環境構成」の例としては、以下のようなものがあります。
| 絵本指導案の「環境構成」の例 |
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環境構成をしっかり考え、配置を工夫することで、子どもたちが絵本に集中しやすくなり、絵本の読み聞かせの時間をより豊かなものにできるでしょう。
3.【年齢別】絵本の指導案の例文と完成版テンプレート

前章で解説したポイントを踏まえ、ここでは実際の「絵本の指導案」の例文を紹介します。
0歳から5歳までの年齢ごとに、発達段階に合わせた指導案の書き方と完成版テンプレートを掲載しています。
具体的な事例を通して、ねらいや保育者の関わり方、環境構成などをどのように整理すればよいかをイメージしやすくなるでしょう。
3-1.0~1歳児
0~1歳児は、まだ長い時間じっと座って絵本を読むことが難しい年齢です。
「絵本をしっかり見る」ことよりも、絵本を楽しんだり、絵や言葉に親しんだりすることを重視しましょう。読み聞かせの時間を通じて、保育者とのつながりや安心感も育む時間にもなっています。
【項目別|指導案の例文】
| 0~1歳児の指導案の例文 | |
| ねらい |
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| 予想される子どもの姿 |
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| 保育者の配慮と援助 |
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| 環境構成 |
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【完成版|0~1歳児の絵本の指導案】

絵本に集中できる環境を整え、子どもが「絵本って楽しいな」と思える雰囲気づくりがポイントです。
指導案を作成する際は、子どもが安心して絵本の世界に入り込めるよう、保育者の関わり方や環境構成を意識して計画しましょう。
3-2.2歳児
2歳児は、動物や食べ物など身近なものや興味のあるものの名前を言ったり、言葉のやり取りを楽しんだりする時期。
言葉の発達が大きく進む一方で、集中できる時間はまだ短いため、「わかりやすく・楽しく・テンポよく」読んであげることが大切です。
【項目別|指導案の例文】
| 2歳児の指導案の例文 | |
| ねらい |
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| 予想される子どもの姿 |
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| 保育者の配慮と援助 |
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| 環境構成 |
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【完成版|2歳児の絵本の指導案】

絵本を読むときの環境は、普段の様子も観察してどのようにするか決めましょう。普段イスに座っているのか、床に座って見ているのかなどの様子に合わせて、より子どもたちが落ち着く環境で読み聞かせをすると良いでしょう。
指導案を作成する際も、子どもの興味を引き出す読み方や、反応に合わせた関わり方を意識して書くと良いですよ。子どもの発言にどのように対応するのか、あらかじめ考えて、「保育者の配慮と援助」の欄に記載しておきましょう。
3-3.3歳児
3歳児は、自分の思いや考えを言葉で伝えられるようになり、「どうして?」「なにしてるの?」といった質問も増えてきます。また、友だちへの関心が高まり、一緒に遊ぶことを楽しむ反面、意見がぶつかってトラブルになることもあります。
身の回りの出来事や物語の世界に強い興味を持ち、想像力も豊かになるため、絵本を通して「気づき」や「共感」を育てるよい時期です。
【項目別|指導案の例文】
| 3歳児の指導案の例文 | |
| ねらい |
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| 予想される子どもの姿 |
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| 保育者の配慮と援助 |
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| 環境構成 |
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【完成版|3歳児の絵本の指導案】

集中力に差がある時期なので、皆が楽しく読めるような絵本を選定し、絵本に集中できる環境構成や絵本の読み進め方などを書くと良いでしょう。
3-4.4歳児
4歳児は、物語の内容を理解し、登場人物の気持ちを想像できるようになる時期です。集中して絵本を見られるようになってきて、「どうして?」「○○だからだね」など、自分なりの考えを言葉で表現する姿も増えていきます。
【項目別|指導案の例文】
| 4歳児の指導案の例文 | |
| ねらい |
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| 予想される子どもの姿 |
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| 保育者の配慮と援助 |
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| 環境構成 |
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【完成版|4歳児の絵本の指導案】

読み聞かせでは、場面に合わせて声の調子や表情を変える読み方を工夫すると、物語の世界に入り込みやすいですよ。思ったことを口にする子どもも多いので、「絵本の途中では子どもの発言に反応するのかどうか」も考えて指導案に記載しておくと良いでしょう。
友達と考えを共有しながら楽しめるよう、安心して参加できる雰囲気づくりも意識しましょう。
3-5.5歳児
5歳児は言葉の理解力や思考力が大きく発達し、登場人物の気持ちや物語の展開を自分なりに考えられるようになります。また、友達との関わりを通して、共感や協調の心も芽生える時期です。
絵本の読み聞かせでは、「感じて考える体験」を意識し、指導案もそれに沿って作成しましょう。
【項目別|指導案の例文】
| 5歳児の指導案の例文 | |
| ねらい |
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| 予想される子どもの姿 |
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| 保育者の配慮と援助 |
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| 環境構成 |
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【完成版|5歳児の絵本の指導案】

読む前には表紙やタイトルから想像を膨らませ、読み終えた後は登場人物の気持ちや感想を共有しながら、子どもの思いや考えを受け止めることが大切です。
4.絵本選定の段階で「教訓」にこだわっておくと指導案の質も上がりやすい
書く際のポイントや実際の見本を見て、「自分でも書けそう」というイメージがつかめたのではないでしょうか?
もし、「指導案の質をもっと高めたい」「絵本の読み聞かせをさらに有意義な時間にしたい」と考えている場合は、絵本を選ぶ際に「教訓(絵本から得られるさまざまな学び)」にも注目してみましょう。
「教訓」を意識した絵本は、子どもに伝えたい学びが明確になるため、指導案の主となる「ねらい」を設定しやすくなります。
特に昔話には、集団生活でお友だちと関わる中で学んでほしい教訓が豊富に含まれているため、保育にも取り入れやすいでしょう。
例えば、かさじぞうは「相手の気持ちを大切にする心」・わらしべちょうじゃは「困っている人を助ける優しい心」など、多くの学びがあります。

教訓を意識して絵本を選ぶことで、指導案の質が上がり、結果として保育の質も高まります。
子どもたちにさまざまな絵本を通して多様な学びを経験させたい方は、ぜひ昔ばなしにも目を向けてみてください。
| あたたかいストーリーとやさしい絵で楽しめる「昔ばなし絵巻」 |
| 「昔ばなしって良さそうだけど、怖い・暗いイメージがある…」という方もいらっしゃるかもしれません。 そんな方におすすめなのが、やわらかいタッチのかわいらしい絵とストーリーで作られた「昔ばなし絵巻」です。 親しみやすい絵とストーリーで楽しみながら、思いやり・優しさなど、子どもたちに伝えたい教訓がしっかり詰まっています。
それぞれの昔ばなしには、物語の歴史的背景やポイント、読み聞かせのコツまで解説が載っているので、子どもたちの「なんで?どうして?」という疑問にも答えやすく、保育活動にも活かしやすいでしょう。
以下のページでは、プロによる講談動画も掲載しています。より子どもたちが引き込まれる読み聞かせを実践するために、ぜひ、保育の現場でご活用ください。 |
5.まとめ
いかがでしたか?
絵本の指導案はどのように書けばよいか、イメージが付いたのではないでしょうか?
最後にこの記事をまとめると
【絵本指導案の主な項目と書く時のポイント】
| 主な項目 | 書く時のポイント |
| ねらい |
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| 予想される子どもの姿 |
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| 保育者の配慮と援助 |
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| 環境構成 |
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ただし、こちらはあくまでも一例です。実際には、目の前の子どもたちの発達段階や興味関心に合わせて、指導案を工夫して作成してくださいね。
この記事が、みなさんのより良い指導案づくりの一助となれば幸いです。



