
※本記事は、2025年9月時点での情報を元に執筆しています。
「アイヌ民話ってどんな内容なんだろう」
「代表的なアイヌ民話のあらすじを知りたい」
「アイヌ民話を実際に読んでみるにはどうしたらいいの?」
アイヌ民話が気になって調べている方の中には、「どんな内容か知りたい」「できれば読んでみたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
アイヌ民話は、自然や神々、人との関わりを描きながら、暮らしの知恵や道徳を伝えてきた口承の物語です。単なる昔話ではなく、現代に生きる私たちが自然や人との関わりを学ぶヒントを与えてくれる存在ともいえます。
この記事では、アイヌ民話の概要や代表的な物語のあらすじを紹介し、さらにネットや書籍で実際に触れる方法までをまとめました。

この記事を読むことで、アイヌ民話とは何か、どんな話があるのかを理解し、さらにネットや書籍で実際にアイヌ民話に触れる方法がわかります。
記事を読み終える頃には、アイヌ民話から学べる価値や、自分に合った楽しみ方までイメージできるはずです。ぜひ最後までお読みください。
1. アイヌ民話とは

アイヌ民話とは、アイヌ民族に伝わる口承の物語のことです。自然や動物、神々との関わりを題材に、人々の暮らしの知恵や道徳を子どもから大人へ受け継ぐ役割を担ってきました。
アイヌ民族は、日本列島北部周辺(主に北海道)に住んでいた先住民族であり、日本語と系統の異なる言語「アイヌ語」を話すなど独特の文化を持っています。
アイヌに伝わる民話・物語・歌は、単なる娯楽ではありません。アイヌは「あらゆるものに精神が宿る」と考えており、近代に入る前は口承で、自然や神々に対する畏怖や感謝の念を伝えてきたのです。
こうした民話を口伝えすることで、人々は文化や伝統を理解し、それを次の世代へと受け継いできました。
2. アイヌ民話の3つの分類(ユカㇻ・カムイユカㇻ・ウエペケレ)

前の章では「アイヌ民話とは何か」を確認し、その背景には自然や神、人との関わりを語り継いできた文化があることを紹介しました。
では、具体的にどのような物語が語り継がれてきたのでしょうか。ここでは、アイヌ民話を大きく3つに分けてその特徴を解説していきます。
| アイヌの物語の3分類 ・超人的な英雄を描く「ユカㇻ」(英雄叙事詩) ・動物や自然に宿る神・精霊が登場する「カムイユカㇻ」(神謡) ・生活するための知恵や規範を含んだ「ウエペケレ」(散文説話) |
アイヌ民話はユカㇻ・カムイユカㇻ・ウエペケレという3つの分類を通じて、勇気や自然への畏敬、暮らしの知恵といった価値観を次世代に伝える物語であるといえます。
ぜひこの章を読み進めながら、英雄の冒険、神々の語り、人々の暮らしがどのように物語として描かれ、現代にどんな学びを与えてくれるのかをイメージしてみてください。
2-1. 超人的な英雄を描く「ユカㇻ」(英雄叙事詩)
アイヌ語で「ユカㇻ」(ユーカラ)と呼ばれるのは、超人的な英雄が自らの冒険を語る叙事詩であり、勇気や共同体を守る精神を伝える物語です。
アイヌの世界では、文字を持たなかったために物語を口承で伝えてきましたが、ユカㇻはその中核をなすものです。独特のリズムや旋律、掛け声を伴って語られることで記憶に残りやすく、人々の生活や価値観を次世代に伝える役割を担っていました。
| 「ユカㇻ」(英雄叙事詩)の特徴 ・英雄自身が一人称で語り手となり、雷や怪物と戦い、村を救う物語など、身の上を語る形式が多い ・語り手や聞き手が炉縁を木の棒(レㇷ゚ニ)で叩き、掛け声(ヘッチェ)をかけながらリズムをとる ・語りの旋律は語り手ごとに固有で、同じメロディを繰り返すことで物語を紡ぐ ・現代ではアイヌ文化復興の一環として、新しい語り手も育っている |
ユカㇻは、単なる英雄譚ではなく、勇気・知恵・リズムのある語りの力を通じて「どう生きるべきか」を伝える叙事詩です。物語を聞くことで、困難に立ち向かい、共同体を守る姿勢を学べます。
2-2. 動物や自然に宿る神・精霊が登場する「カムイユカㇻ」(神謡)
アイヌ民話では、動物や自然そのものに宿る「カムイ(神・精霊)」が登場し、自らの体験を一人称で語る形式の物語があります。これをカムイユカㇻ(神謡)と呼びます。
先ほど紹介したユカㇻは「人間の英雄」が主人公でその冒険や戦いを描く叙事詩ですが、カムイユカㇻは自然や動物の神そのもの(カムイ)が語り手となり、自らの体験や人間との関わりを語ります。
アイヌの世界観では、火や水、川や山、動物や植物まで森羅万象に神が宿ると考えられています。私たちが「超越的な存在」として想像する唯一神とは異なり、身近な自然現象そのものが神として描かれているのが特徴です。
また、語りの中には「サケヘ」と呼ばれる繰り返し語が挿入され、詩的でリズムのある表現によって聞き手を引き込みます。
| 「カムイユカㇻ」(神謡)の特徴 ・フクロウ神(コタンコロカムイ)は「村を守る神」として自らの役割を語る ・クマ神(キムンカムイ)は山の神であり、恵みをもたらす存在として登場する ・川や火といった自然そのものが語り手となり、人間の暮らしに必要な知恵を伝える ・語りは一人称で進み、神が自らの体験を人間に語りかける形式をとる ・「サケヘ」と呼ばれる繰り返し語が使われ、物語にリズムと臨場感を与える |
カムイユカㇻは「神が自ら体験を語る物語」であり、自然と人間の関係を象徴的に描いています。物語に触れることで、私たちも日常の中で自然を畏れ敬い、どのように共に生きていくべきかを考えるきっかけを得られます。
2-3. 生活するための知恵や規範を含んだ「ウエペケレ」(散文説話)
「ウエペケレ」とは、アイヌに伝承される口承文芸で、日本語では「民話」や「昔話」と訳されるものです。
先祖の実体験に基づいた話もあれば、日本の昔話に似た形式のものもあり、暮らしの知恵や掟を次世代に伝える重要な役割を果たしてきました。
ユカㇻやカムイユカㇻが叙事詩的・詩的な語りであるのに対し、ウエペケレはもっと現実的で、暮らしに直結する教訓を残すような内容となっています。
ユカㇻ(英雄叙事詩)やカムイユカㇻ(神謡)と異なり、ウエペケレは散文で日常会話に近い言葉で語られます。人間が一人称で自らの体験を語る形式が多く、「私はオタスツコタンの村長です」といった出だしで始まることもあります。
| 「ウエペケレ」(散文説話)の特徴 ・ユカㇻ(英雄叙事詩)やカムイユカㇻ(神謡)と異なり、散文形式で語られる ・多くは一人称で語られ、話者が主人公になりきる形式で進行する ・飢饉・疫病・喧嘩など、生活に直結する現実的な題材が多い ・「パナンペ・ペナンペ」のように、正直者と怠け者の対比で勤勉さを教える話もある ・語りの結びは「~と語っていた」と伝聞形式で終わることが多い |
このように、ウエペケレは生活に根ざした散文説話であり、自然をどう敬い、共同体の中でどう生きるかを伝えてきました。
現代に生きる私たちにとっても、「悪いことをしたら不幸になる」「自然を敬って暮らせば幸せな人生を送れる」など、謙虚さや助け合いの大切さなどを再確認することができます。
3. 代表的なアイヌ民話をあらすじで紹介

アイヌ民話が自然や神々、人との関わりを口承で伝えてきた物語だとわかったところで次は、具体的な物語を手がかりに「どんな価値観が語られているのか」を確かめていきましょう。
この章のテーマは、代表的なアイヌ民話のあらすじを短く押さえ、物語ごとの視点や教訓をつかむことです。
| 代表的なアイヌ民話の例 ・フクロウ神(コタンコロカムイ) ・フキノトウになった女の子 ・パナンペとペナンペ |
情景を思い浮かべながら、登場する神々や人びとの行いに注目して読み進めてみてください。
3-1. フクロウ神(コタンコロカムイ)
フクロウ神(コタンコロカムイ)は、村を守る神様として数多くのアイヌ民話に登場します。
地域や語り手によってさまざまな語りがありますが、ここではその中のひとつ『梟の神が自ら歌った謡「コンクワ」』のあらすじを紹介します。
| 梟の神が自ら歌った謡「コンクワ」のあらすじ 梟の神は年老いて力が衰え、自らの代わりに神々の国へ談判を伝える使者を探していました。最初に鴉の若者、次に山のカケスを使者に立てましたが、いずれも居眠りをして任務を果たせず、梟の神に殺されてしまいます。 最後に現れた川ガラスの若者は、全ての談判を聞き届け、神々の国へと向かいました。その談判は、人間が鹿や魚をとれず飢えに苦しんでいる原因を問いただすものでした。川ガラスは、獲物を粗末に扱う人間の行為に神々が怒り、獲物を出さなかったことを伝えます。 梟の神は人間の夢に現れてその過ちを諭し、人々が獲物を大切にするようになった後は、再び鹿や魚が豊かに得られるようになりました。そして梟の神は安心して、川ガラスの若者に守護を託し、神々の国へ去っていきました。 |
この物語は、知里幸恵によって編纂・翻訳された『アイヌ神謡集』(岩波書店、1978年発行)に収録されています。
アイヌ民族にとってフクロウは「コタンコロカムイ(村を守る神)」とされ、夜の森を見守り、災いから人々を守る存在と考えられてきました。こうしたフクロウ神の物語は、どれも「共同体を大切にする心」や「自然と共に生きる姿勢」を伝えています。
3-2. フキノトウになった女の子
「フキノトウになった女の子」は、人が自然へと姿を変えたというお話で、植物と人間のつながりを描いたアイヌ民話の中でも代表的なお話です。
| 「フキノトウになった女の子」のあらすじ 勇敢なオイナカムイの妹である少女は、針仕事を好み、天の世界で家族と静かに暮らしていました。ある日、地上を見下ろして美しいアイヌモシㇼの景色に心を奪われ、どうしても行きたくなり、自分で縫った衣をまとって山に降り立ちます。 地上の美しさに舞い踊るうち、指先から吹き荒れる風で大地と海を荒らしてしまい、村々をめちゃめちゃにしてしまいました。その知らせを聞いた兄オイナカムイが怒り、少女を捕らえて髪をつかんで振り回し、ついには天の世界に追い返してしまいます。 少女は深い悲しみに沈み、六年もの間泣き続け、地下の地獄に落とされてしまいました。ようやく地上に戻ったとき、彼女は小さなフキノトウの姿になっていたのです。 |
このアイヌ民話には、自然の動植物をカムイ(神)として敬い、人も自然の一部と考えてきたアイヌの世界観が反映されています。春を告げるフキノトウは、人々の暮らしに欠かせない恵みの象徴でもあり、このお話を通じて自然への感謝や共生の心を学ぶことができます。
このお話は、公益財団法人アイヌ民族文化財団のキッズメニュー(イソイタク1)に収録されています。
3-3. パナンペとペナンペ
「パナンペとペナンペ」は、二人の人物(パナンペ=アイヌ語で「川下の人」、ペナンペ=「川上の人」)が登場し、成功と失敗の対比を通じて教訓を伝えるアイヌ民話です。
地域によって話の筋は異なりますが、典型的な形では、知恵を働かせて成功するパナンペと、真似をして失敗するペナンぺが描かれます。たとえば、パナンペが木に松ヤニを塗って鳥を捕らえたのを見て、ペナンぺが真似して失敗し命を落とす、という展開がよく知られています。
ここでは、織田ステノさんが話者の「ペナウンペの釣りざお」(1988年収録)のあらすじを紹介します。
| 「ペナウンペの釣りざお」のあらすじ 私(パナウンペ)とペナウンペは兄弟でした。私(パナウンペ)は働き者の妻とともに幸せに暮らしていましたが、ペナウンペは根性の悪い男でした。 あるとき川に遡上してきた魚を工夫して捕まえ、干し魚を作って楽しんでいると、欲深いペナウンペがやってきて、どうやって魚をとったのかと問い詰めます。パナウンペは嘘を教え、「川に入ってふんどしを外して裸で座れば、股間に魚が食いつく」と伝えました。 ペナウンペはそれを信じて試した結果、氷が股間にくっついて川から出られなくなり、命を落としてしまいます。村人たちは「水の神を敬わない行為をしたために罰を受けたのだ」と語り合いました。 |
このお話は、アイヌ民族博物館「アイヌと自然デジタル図鑑」に収録されています。
この物語は、勤勉な者と欲深い者の対比を通して「知恵と愚かさの違い」を描くとともに、自然や水の神を粗末に扱うことへの戒めを伝えています。
パナンペとペナンペの話は地域ごとにさまざまな型がありますが、いずれも「まねをして失敗する」構造が多く、日本の昔話「舌切りスズメ」や「こぶとりじいさん」と同じく、子どもに教訓を伝える役割を果たしてきました。
4. アイヌ民話に今すぐ触れられるネットコンテンツ3選
前の章では、アイヌ民話の特徴をまとめて紹介しました。
アイヌ民話がどういうものかイメージできるようになり、次は「実際に全文を読んでみたい」「動画で見たい」「音声で聞いてみたい」と思う方も多いのではないでしょうか。
そこでこの章では、インターネットで今すぐアイヌ民話に触れられるコンテンツを3つ紹介します。
| アイヌ民話に今すぐ触れられるネットコンテンツ3選 ・公益財団法人 アイヌ民族文化財団:絵本・児童書・動画を公開 ・国立アイヌ民族博物館:音声・日本語解説・動画を公開 ・YouTube:北海道公式・アイヌ民族文化財団などが動画を公開 |
文章だけでなく映像や音声でも物語に触れると、理解や親しみやすさがぐっと深まります。ぜひ紹介するコンテンツにアクセスして、今すぐアイヌ民話を見て聞いて楽しんでみてください。
4-1. 公益財団法人 アイヌ民族文化財団:絵本・児童書・動画を公開

画像出典:公益財団法人 アイヌ民族文化財団「キッズメニュー」
公益財団法人 アイヌ民族文化財団の公式サイトには「キッズメニュー」というコーナーがあり、「えほん」と「じどうしょ」の2つの形式でアイヌ民話を公開しています。
「じどうしょ」では、代表的な民話を集めた「イソイタク」シリーズ(全5巻)を読むことができ、「フキノトウになった女の子」や「カムイを射止めた男の子」、「森でひろったふしぎな赤ちゃん」などの物語が挿絵つきの文章で全文掲載されています。
また「えほん」では、幼児向けに全ページイラスト付きの絵本形式で、民話や昔話が公開されています。えほんページ下部には動画で物語を楽しめるムービーコンテンツもあります。
文章多めの児童書、イラスト多めの絵本、映像で楽しめる動画でアイヌ民話に触れたい方におすすめのコンテンツです。
4-2. 国立アイヌ民族博物館:音声・日本語解説・動画を公開

国立アイヌ民族博物館が運営する「アイヌと自然デジタル図鑑」では、実際の語り部によるアイヌ語の音声と日本語あらすじに加え、絵本朗読動画も提供されています。
織田ステノさんが語った「ペナウンペの釣りざお」をはじめとする数多くの民話を、実際のアイヌ語の発音で聞けるのは大きな特徴です。アイヌ語と日本語を対比させた全文も確認できるため、聞きながら読んで理解を深めることも可能です。
絵本を朗読する動画も20本程度あり、「白鳥の知らせ」「ポロシルンカムイになった少年」などを、語り部のアイヌ語と日本語で楽しむことができます。
4-3. YouTube:北海道公式・アイヌ民族文化財団などが動画を公開
アイヌ民話を手軽に楽しむなら、YouTubeに公開されているアイヌを題材にしたアニメや朗読動画もおすすめです。
ただし、中には出典が不明確なものや信頼性に欠けるものも含まれています。安心して視聴したい場合は、公式性の高いチャンネルが公開しているコンテンツから選ぶのがおすすめです。
| YouTubeでアイヌ民話を見るときのおすすめチャンネル ・公益財団法人アイヌ民族文化財団:「60のゆりかご」「くもの女神-ヤオシケプカムイ」「私の育てた子グマ」などをアニメや朗読で公開している。 ・北海道公式チャンネル:アイヌ文化や民話をテーマにした「アイヌのお話アニメ」を複数制作して公開している。「ハンキリキリ」や「レホッネ シンタ(60のゆりかご)」など。 ・BS-TBS公式チャンネル:アイヌに特化したチャンネルではないが、「むかしばなしのおへや」コーナーで「きつねのチャランケ」「金の声 銀の声」などを配信している。 |
映像化された民話は、文章を読むよりイメージが湧きやすく、子どもや初めて触れる人にもとっつきやすいコンテンツです。家庭での読み聞かせ代わりにもなりますし、授業の導入にも役立ちます。
5. アイヌ民話を本で読みたい人へのおすすめ書籍4選

前の章では、インターネットで今すぐ楽しめる公式コンテンツを紹介しました。動画や音声で気軽に触れられる一方で、「紙の本でじっくり味わいたい」「子どもと一緒に読み聞かせたい」と感じた方も多いのではないでしょうか。
ここからは、たくさんある書籍の中から、アイヌ民話を深く知りたい大人におすすめな本や、子どもと一緒に楽めるおすすめな絵本まで、厳選した4冊を紹介します。
| アイヌ民話を本で読みたい人へのおすすめ書籍4選 ・更科源蔵『アイヌ民話集』(青土社) ・萱野茂『アイヌと神々の物語~炉端で聞いたウウェペケレ~』(山と溪谷社) ・あべ弘士『クマと少年』(ブロンズ新社) ・かやのしげる『アイヌとキツネ(アイヌの絵本)』(小峰書店) |
学術的にまとめられた定番の民話集から、ストーリー性豊かに読み物として楽しめるもの、そして子どもに教訓を伝えられる楽しい絵本まで。4冊を通して、アイヌ民話の幅広い魅力を味わえるラインナップになっています。
ぜひお気に入りの一冊を見つけてみてください。
5-1. 更科源蔵『アイヌ民話集』(青土社)

出典:Amazon
人間、獣、鳥、魚から星や月、おばけまで、幅広い題材を網羅したアイヌ民話の集大成ともいえる書籍です。作者が数十年にわたり各地のコタン(集落・村)を訪ね、長老たちから直接聞き取った物語を収録しています。
「人間の創造」「死の国の話」「うっかりもののカワウソ」「カになった英雄」「シシャモ物語」「化物退治」「丸木舟の争い」などが収録されており、アイヌ民話の世界を体系的に学びたい人に最適な一冊です。
【書籍の詳細】
| タイトル | アイヌ民話集 |
| 出版社 | 青土社 |
| 価格(税込) | 2,420円 |
| 対象年齢 | 一般 |
5-2. 萱野茂『アイヌと神々の物語~炉端で聞いたウウェペケレ~』(山と渓谷社)

出典:Amazon
アイヌ語研究の第一人者であり、政治家としても知られる萱野茂が、祖母や村のフチから聞き集めた38の物語を収録した名著です。長い冬の夜に炉端で語られてきたウウェペケレ(昔話)を、情感豊かな文章で読みやすく再話しています。
苦難や試練を乗り越えて、幸福な結末へと至るドラマチックな展開が多く、読み物としても楽しめる一冊。文庫化にあたっては『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修で知られる中川裕氏が寄稿しており、現代的な視点からも理解を深められます。
【書籍の詳細】
| タイトル | アイヌと神々の物語~炉端で聞いたウウェペケレ~ |
| 出版社 | 山と渓谷社 |
| 価格(税込) | 1,210円 |
| 対象年齢 | 一般 |
5-3. あべ弘士『クマと少年』(ブロンズ新社)

出典:Amazon
『クマと少年』は、アイヌの人々にとって最高神とされるクマと、人間の少年との絆を描いた絵本です。
母親の乳を分け合い、兄弟のように育った少年とクマのキムルンは、花で遊び、虫や魚を追いかけて過ごします。やがてキムルンが成長したとき、アイヌの大切な儀式「イオマンテ(クマ送り)」の日が訪れます。
絵本として親子で読み聞かせに使えるだけでなく、クマを神として敬いながら命をいただくというアイヌ文化の核心に触れられる内容になっています。子どもが楽しめる物語でありながら、大人にとっても文化理解を深める一冊です。
【書籍の詳細】
| タイトル | クマと少年 |
| 出版社 | ブロンズ新社 |
| 価格(税込) | 1,650円(税込) |
| 対象年齢 | 5歳~ |
5-4. かやのしげる『アイヌとキツネ(アイヌの絵本)』(小峰書店)

出典:Amazon
アイヌ文化研究者であり語り部としても知られる萱野茂が書き直し、石倉欣二が絵を描いた絵本です。
シコツ湖のほとりに住むアイヌが、ある夜、シャケをめぐってアイヌに談判(チャランケ)を挑むキツネに出会います。アイヌ民話で繰り返し登場するキツネを題材に、人と自然の関わりや言葉を通じたやりとりの面白さを伝えてくれる一冊です。
この作品は、小峰書店が刊行する『アイヌの絵本【全7巻】』シリーズの一つで、小学校低学年から楽しめる内容になっています。読み聞かせや授業の題材としても適しており、初めてアイヌ民話に触れる導入にもおすすめです。
【書籍の詳細】
| タイトル | アイヌとキツネ |
| 出版社 | 小峰書店 |
| 価格(税込) | 1,980円(税込) |
| 対象年齢 | 小学校低学年 |
※2025年9月現在の価格です。
6. アイヌの民話からはさまざまな教訓を得ることができる
この記事では、アイヌ民話の概要や代表的な物語のあらすじ、教訓を紹介したうえで、実際にネットや書籍で民話に触れる方法まで解説してきました。
あらためてアイヌの民話に触れることで得られる価値をまとめると、以下のようになります。
| 1. 自然への畏敬と感謝を育むことができる アイヌ民話では、動物や植物、自然現象をカムイ(神)とみなし、敬い感謝する姿勢が語られます。現代の私たちにとっても、環境を「消費する対象」ではなく「共に生きる存在」として捉え直すきっかけになります。 |
| 2. 人としての在り方を考える パナンペとペナンペのように「努力する者は報われ、欲深い者は失敗する」という物語は、善悪や誠実さの大切さを伝えます。子どもにとっては道徳心を育む教材になり、大人にとっても「どう生きるべきか」を問い直す機会になります。 |
| 3. 世代を超えて知恵を受け継ぐ アイヌ民話は長い冬の夜に囲炉裏端で語り継がれ、娯楽であると同時に文化の継承手段でもありました。現代でも絵本や朗読を通して語り合うことで、家族や地域の絆を深めることができます。 |
このように、アイヌの民話に触れることは「自然とどう共に生きるか」「人としてどうあるべきか」「世代を超えて何を受け継ぐか」を教えてくれます。
単なる昔話・ストーリーではなく、今を生きる私たちの暮らしや価値観を豊かにする知恵が込められているのです。
昔話の絵本で、子どものこころに「やさしさ」と「思いやり」を届けたい方へ。 |
| 子どもの成長にとって、昔話が持つ教訓は「優しい気持ち」や「他者を大切にする心」を育む大切な要素です。 しかしながら一方で、「昔話は暗い結末や悲しい場面が多く、子どもには少し重いのでは?」と感じる方も少なくありません。 昔ばなし絵巻は、そうした声に応えるかたちで生まれました。やわらかで温かみのある絵と現代の子どもに伝わりやすい表現で、物語の持つ本来の教訓性を大切に描いています。
長く語り継がれてきた日本の昔ばなしを通じて、子どもの「こころの豊かさ」と「道徳的な感覚」を育てていきましょう。 |
まとめ
本記事では「アイヌの民話」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆アイヌ民話の3分類
・超人的な英雄を描く「ユカㇻ」(英雄叙事詩)
・動物や自然に宿る神・精霊が登場する「カムイユカㇻ」(神謡)
・生活するための知恵や規範を含んだ「ウエペケレ」(散文説話)
◆代表的なアイヌ民話をあらすじで紹介
・フクロウ神(コタンコロカムイ)
・フキノトウになった女の子
・パナンペとペナンペ
◆アイヌ民話に今すぐ触れられるネットコンテンツ3選
・公益財団法人 アイヌ民族文化財団:絵本・児童書・動画を公開
・国立アイヌ民族博物館:音声・日本語解説・動画を公開
・YouTube:北海道公式・アイヌ民族文化財団などが動画を公開
◆アイヌ民話を本で読みたい人へのおすすめ書籍4選
・更科源蔵『アイヌ民話集』(青土社)
・萱野茂『アイヌと神々の物語~炉端で聞いたウウェペケレ~』(山と渓谷社)
・あべ弘士『クマと少年』(ブロンズ新社)
・かやのしげる『アイヌとキツネ(アイヌの絵本)』(小峰書店)
アイヌの民話からはさまざまな教訓を得ることができます。ネットですぐ見られるコンテンツもあるので、ぜひアイヌの民俗文化に触れてみてください。


